こんにちは、近森満です。今日もDXしてますか?
さて今回は以下の内容でお届けします。
タイトル:ミドル・シニア世代がリスキリングで動きたい7つのこと
サブタイトル:リスキリングの本質を語る〜ミドル・シニアの挑戦〜
【記事概要】 リクルートワークス研究所がリリースした「企業で働くミドル・シニアのリスキリング7つの目的と促進の鍵」レポートを基に、ミドル・シニア世代のリスキリングについて解説します。なぜリスキリングが必要なのか、学習者としてのミドル・シニアの特徴、リスキリングの7つの目的と促進の鍵、個人と組織が得られる効果などを掘り下げていきます。
【音声配信】 ※音声収録のポッドキャストではテキストには載っていない㊙話も。 ぜひ、ものは試しに聴いてみてください。
はじめに
昨今、日本の職場では、ミドル・シニア世代が大きな割合を占めています。リクルートワークス研究所の調査によると、その割合は実に34.7%にも上るそうです。この世代がDXの波に乗り遅れ、ITやデジタル技術への理解が不足していると、企業の業務プロセス変革や新たな価値創造の妨げになりかねません。しかし現状では、ミドル・シニアのリスキリング(学び直し)は遅れをとっているようです。彼らがリスキリングに二の足を踏む理由は何でしょうか?その本質的な理由を探るとともに、リスキリングの重要性や効果的な進め方について考えていきましょう。
1)ミドル・シニアがリスキリングに消極的な背景
ミドル・シニア世代がリスキリングに消極的な理由の一つは、彼らのキャリアの多くがITスキルを必須としない時代に形成されてきたことが挙げられます。
(1)IT業界以外では、ITスキルがキャリアアップの評価軸になることは少なかったのです。営業職であれば、紙の資料を使った商談が主流だった時代もあり、デジタルシフトの必要性を実感しづらかったのかもしれません。
(2)また会社側も、ミドル・シニア向けのITスキル研修などを実施することは稀で、デジタルリテラシーの向上は個人の自助努力に委ねられがちでした。学ぶ機会が乏しかったことも、彼らのリスキリングへの消極姿勢に影響していると考えられます。
【事例】
ミドル・シニア世代の52歳営業職・佐藤さんは、顧客との商談では長年紙の資料を使ってきました。しかし最近、タブレットでプレゼンする若手の姿を見て、危機感を覚えたそうです。会社が主催するデジタルシフト研修に一度参加したものの、実践に繋げられず、もどかしさを感じているといいます。佐藤さんのようなケースは珍しくないのではないでしょうか。
2)DXを推進する上でのリスキリングの必要性
では、なぜ今、ミドル・シニアのリスキリングが必要とされているのでしょうか。
(1)それは、企業のDX推進において、デジタルリテラシーを持った人材が不可欠だからです。加速するデジタル化の中で、ITスキルは全社員に求められる時代になりつつあります。紙の書類を前提とした業務フローも、ペーパーレス化により大きく変わりつつあります。営業職であれば、タブレットを使いこなすスキルが必須となる一方で、システムトラブルが起きた際は、現場で対応できる人材が求められるようになるでしょう。
(2)さらに、企業がイノベーションを生み出していく上では、社員のデジタルリテラシーが鍵を握ります。デジタルを活用した業務改善や新事業創出のアイデアを生み出すには、DXの本質を理解した人材が各部署に必要不可欠です。世代を超えたフラットなコミュニケーションを実現する上でも、ITへの理解は欠かせません。こうした中で、ミドル・シニアのデジタルシフトは待ったなしの状況と言えるでしょう。
3)ミドル・シニアのリスキリングを妨げるもの
リクルートワークス研究所のレポートでは、ミドル・シニアが学習者として抱える課題についても言及されています。
(1)彼らは新しい学びに慣れていないこともあり、リスキリングには消極的になりがちです。「もう歳だから無理」というマインドブロックや、学習習慣からの断絶感が学びへの一歩を躊躇わせているのかもしれません。
(2)加えて、学習後のキャリアビジョンが描けないことも、彼らの行動を鈍らせている要因だと指摘されています。習得したスキルを実践に活かせるのか、それがキャリアアップや処遇改善に繋がるのか、実感が湧かないのです。そもそもスキルアップの意義を、キャリアの延長線上に見出せないジレンマを抱えている人もいるでしょう。こうしたミドル・シニア特有の心理的障壁をどう乗り越えるかが、リスキリング推進の鍵となります。
4)リスキリング推進の7つのアプローチ
では、ミドル・シニアのリスキリングを効果的に進めるには、どのようなアプローチが有効でしょうか。レポートでは、7つの視点が提示されています。
(1)まず、変化の必要性を腑に落とすこと。DXがもたらす変化の本質を学び、腹落ちさせる場を提供することが重要です。
(2)加えて、新しいスキルの習得が、評価や処遇に反映される仕組みを整えることで、モチベーションアップにつなげることができるでしょう。
(3)リスキリング後の姿を可視化することも効果的です。ロールモデルを提示し、学んだスキルを存分に活かせる実践の場を用意することで、学びの意義を実感してもらうのです。
(4)さらに、現場で通用する人材であり続けるためには、学び続ける組織文化を醸成することが欠かせません。
(5)何より、リスキリングを自己実現の手段と位置づけ、パーソナルな目標達成に紐づけることが、当事者のコミットメントを高める上で有効だとレポートは指摘しています。
(6)また、適切なフィードバックとサポート体制も重要です。学習の進捗状況を確認し、つまずきにはタイムリーに手を差し伸べる。そうした寄り添いがあれば、学びを継続しやすくなるでしょう。
(7)最後に、リスキリングの成果を組織内で共有・称賛する機会を設けることも忘れてはなりません。新しいスキルを活かして成果を上げた社員を表彰するなど、リスキリングの価値を組織全体で認識することが、学習者の意欲を高めることに繋がります。
【事例】
58歳のIT企業勤務・田中さんは、自ら若手向けのAI研修に飛び込み、その後、AIを活用した新規事業を企画しました。プロジェクトリーダーに抜擢され、今はイキイキと働いているそうです。学びを自己実現に昇華させた好事例と言えるでしょう。
5)リスキリングがもたらす変化の先に
リスキリングは、個人と組織双方に変化をもたらします。 (1)個人にとっては、市場価値の向上とキャリアの選択肢拡大につながります。新しいスキルを武器に、イキイキと活躍する中で、仕事を通じた生きがいを見出すことができるでしょう。 (2)一方、組織にとっては、イノベーション創出力の強化や生産性の向上、従業員エンゲージメントの向上など、様々なメリットが期待できます。社員の学びを促進し、その成果を引き出すことこそが、組織の成長と持続につながるのです。
さいごに
リクルートワークス研究所のレポートが示すように、ミドル・シニア世代がリスキリングに踏み出すには、「学び」がキャリアにどう活きるのか、実感を伴ったビジョンが不可欠です。スキルを習得して終わりではなく、その先の新しいキャリアを描けること。企業には、学びの意義を丁寧に伝え、実践と活躍の場を用意することが求められるでしょう。
一方、ミドル・シニア一人ひとりも、変化を恐れず、前向きに学ぶ姿勢を持つことが何より大切です。仕事の中に学びを見出し、学びの先に自己実現を描く。そんな意識の転換こそが、イキイキと働き続けるための原動力になるはずです。
DXの波は、ミドル・シニアにも新たな可能性を開くはず。変化を味方につけ、学び続ける姿勢を磨くことで、ミドル・シニアの皆さんが、次の時代を担う原動力となることを期待しています。
いかがでしたでしょうか? すこしでもみなさまの気づきになれたのであれば幸いです。 ではまた。
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【参考資料】
企業で働くミドルシニアのリスキリング〜7つの目的と促進のカギ〜(リクルートワークス研究所)
www.works-i.com/research/works-report/item/reskillingmiddleaged2024.pdf
【音声配信】 ※音声収録のポッドキャストではテキストには載っていない㊙話も。 ぜひ、ものは試しに聴いてみてください。